あなたは医療の信奉者? それとも慎重派? 人はどうやって医療に関する決断をするのか?

 患者として、医療者の言葉をどう受けとめ、どう決断するか。ヒントになることを時折書いていこうと思います。

今日は、随分前に読んだ 「Your Medical Mind」ですが、その中の言葉をよく思い出すことがあり、現在にも通ずると思うことをご紹介します。

薬や医療介入を使うかどうか、また、選択肢がある場合、何を選択するかは、本当に個人差があります。例えば、

 

 ● 育った家庭環境(特に、の医療に対する態度から受ける影響)

 ● 過去の病気や医療に対する自らの経験

 ● 聞いたり読んだりした他人の経験談(ストーリー)(*統計や研究結果よりもストーリーの方が人の心に響く*)

によって人の決断は大きく変わります。

本の言葉を借りると、医療のBeliever(医療信奉者)か、Doubter (慎重派)かが変わってきます。   

例えば、薬や医療介入を使えば、望ましい効果とともに副作用やリスクの可能性が生じますが、同じ数字を見ても、医療信奉者と慎重派では、それを高いとするか低いとするか全く違います。


また、気をつけたいのは、医療者が、自分の嗜好(自分の好きな選択肢)を患者が選ぶように(意識しているかどうかは別として)不均等に情報を提示することもあります。


著者の言葉を借りると、"Patients should be aware that doctors and other experts may frame information in a way that reflects their own preferences." (p58) 

和訳「患者は、医師やその他の専門家が、自分たちの嗜好を反映する形で、情報を組み立てて提供しているかもしれないことを承知しておくべきである」 

医療を信じる人は、医療者の言葉をそのまますんなり受け入れるかもしれないし、逆に慎重派は、代替案を聞いたり、自分でも調べたりセカンド・オピニオンを聞いたり、ということをするかもしれません。

"We are especially mindful not to impose our preferences about our own health on our patients." (p47) 

「我々(共著者の医師二人)は、自分たちの健康に対する嗜好を患者に強要しないように特に気をつけている」

 

皆さんが、かかられている医療プロバイダーはどうですか?

 

さらに、

"We believe that all patients should be fully informed about their condition and then asked about their preferences." (p65)  

「全ての患者が、自らの健康状態に関する情報を充分に受けた上で、嗜好についても問われるべきである」

例えば、高血圧/高コレステロール値の患者3100人に対する調査によると、薬の服用を始める際、医師から自分の嗜好を聞かれたのは半分だけだったということです。(p65)

エビデンスに基づいた(evidence-based)情報を提供しつつ、個別化されているべき(individulized)ということですよね。

 

私が繊細なカウンセリングをする時に、現在気を付けていることは、なるべく自分の嗜好が表にでないように、常に次の順ですることです。

 ① 望ましい効果 

 ② 比較的よくある副作用 

 ③ より深刻なリスク

数字(パーセンテージや、1000人に何人とか、ビジュアルを使うIcon Arrays など)も使って説明します。

よく「あなただったらどうしますか?」と聞かれる患者さんもいますが、患者さんが自分と同じ嗜好であるとは限らないので(いや、ほとんど違うでしょう・・・)、 

人によってリスクなどの受け取り方が違うことをお伝えし、選ぶ時のいくつかの代表例を挙げたりすることもあります。

 

しかし、完全に偏りのない情報提供というのは困難、ということも感じています。

 

患者としても、自分にとって何が大事なのか、ということに意識を置くことも大事だと思います。

 

 ご意見・改善点あれば、ぜひコメントください。

執筆:ウィコラ創設者・代表 小谷祥子

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