アメリカに住む日本人移民として差別問題について思うこと・これからできること ~一緒に考えていきませんか?~
Art by Amanda Phingbodhipakkiya
***学び・行動のヒントとなる情報(持続性のあるもの)を下の方に追記しました***
アメリカに住んで約20年です。
アトランタでアジア系女性が狙われ、8名が銃殺された事件、サンフランシスコ・ベイエリアでも80代、90代のアジア系の人たちが攻撃されている事件、学校ではアジア系児童・学生がいじめられていることなど・・・
前トランプ大統領の白人男性優越主義発言もあり、これまで比較的ひっそりと暮らそうとしてきたアジア人も大っぴらに差別され、特に女性、高齢者、子どもがヘイトクライムのターゲットにされる事件が増えています。
人種差別、階級差別、ジェンダー差別、障害者差別、文化差別、年齢差別・・・社会の権力者が決めた「ノーマル」から離れると生きづらいのは、アメリカでも日本でも世界中どこでも同じなのは理解した上で・・・
個人的な体験を共有すると、特に大学院に入って医療の勉強、病院やクリニックでの実習・研修を始め、どっぷりとアメリカ社会に入り込んでから、
「ノーマル」(つまり白人男性優越主義)の輪から外れれば外れるほど、健康や生命にまで危険が及ぶほどの差別を目の当たりにしてきました。輪の外にいればいるほど、心身ともに病気になる人が多いです。これは社会システムが変わらない限り、医療では解決できません。
次の図は、権力者(Power)と疎外されている人(Marginalized)の関係をよく表しています。外に行けば行くほど、外のカテゴリーが多ければ多いほど、社会での差別が大きくなります。
解決策は、社会の周縁で疎外されている人たちが心身ともに健康になるシステムを作っていくことです。
私は日本で生まれ育ち、日本では「ノーマル」の人種に入っていたため、生きづらかったのは、女性であること、社会階級が低い家育ち・田舎育ち、ということでした。
アメリカに移民として来たのも、一番強く反発していた日本の女性差別から逃げるためでした。ただしアメリカは日本ほどの女性差別はありませんが、やはりジェンダー差別は存在します。
日本の女性差別からは逃れたものの・・・アメリカに住む日本人移民女性としては、肌の色が「ノーマル」から離れていること(*)、英語を外国語として話し、日本の文化背景を持つことで、大学院在学中に辛い思いを何度もしました(もちろんそれ以前から患者としても)。
(*アフリカ系アメリカ人や中南米系アメリカ人など、肌の色がより濃い人への社会差別は死のリスクがさらに高まるほど厳しいです。)
病院研修が始まってからは、特に文化の違いという面で、毎日のように泣き、悩み、鬱になり、健康を悪くし、数えきれないほど辞めたい、と思う日々でした。
ここまでやってこれたのは、このように苦労してきた自分だからこそ出来ることもあるという思いと、家族や友人・コミュニティーの励まし・サポートがあったからこそでした。
やっと大学院を修了し、医療者として、これから社会的・経済的には「恵まれている」者として、自分のプリビレッジを使って白人男性優越主義の社会構造で苦しんでいる人たちの味方(英語ではAlly)となって、学び・教え・行動し、社会に還元していかなければならないと思っています。
フェイスブックやツイッター(いずれはクラブハウスも?)では、医療情報だけでなく、社会活動のヒントとなる情報も発信していきたいと思っています。一人でやっていくのは難しいので、一緒に考えたり、活動されたい方はぜひご連絡ください。アメリカ生活・海外生活の愚痴をこぼすのもお受けします。
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ここから下は追記です
継続してやっていきたいと思っていることは、日本語コミュニティでの社会構造的な差別問題の教育活動です。
親として思うことは・・・
- 子どもに、差別したり、差別を無視する人間になってほしくない (もちろん、自分たちも差別されたくない)
- 子どもに、差別問題を解決していこうとする人間になってほしい
- 子どもが成長した時に、尊敬してもらえる親でありたい (差別問題の解決に何らかの形で取り組んでいることが重要。若い世代の人たちの多くは親の理解を得られず苦労しています。)
ひとりの力では何も変わりません
共感していただける方は、ぜひ一緒に考えて行動していきましょう。
"To be actively anti-racist we must fight against anti-Blackness in AAPI communities and society as a whole” (https://www.stopasianhate.info)
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私たちができることの一つに、ヘイトクライムの被害者や家族、人種差別問題の解決に取り組んでいる団体に寄付をすることがあります。以下を参考にされてください。今回は主にAAPI関連です。
この他にも、リストに追加すべき団体や個人への寄付先がありましたら、ぜひお知らせください。
■ NAPAWF (National Asian Pacific American Women’s Forum)
アジア・太平洋諸国系アメリカ人(AAPI)の女性と女の子の健康や人権のための活動をされています。
https://www.napawf.org/donate?snw=2&ref=19513fdd-6a59-45ff-b259-13bc043e2da5
■ NAAPIMHA (National Asian Pacific Islander Mental Health Association)
アジア・太平洋諸国系アメリカ人(AAPI)のメンタルヘルス向上のためのアドボカシーや教育を行われています。
■ Stop AAPI Hate
ヘイトクライムの目撃者・経験者の声を集めて、政策変更のためのアドボカシーに使われます。(日本語のリソースもあります。)
■ Stop Asian HateのGo Fund Meページ
1.アジア・太平洋諸国系アメリカ人(AAPI)のための様々な団体に寄付が分配されます(団体リストはサイトに掲載されています)
https://www.gofundme.com/f/support-aapi-community-fund
2.ヘイトクライムの被害者や家族のための寄付(それぞれの個人・家族向け)
https://www.gofundme.com/c/act/justice-aapi-community
■ American Civil Liberties Union (ACLU)
女性、移民、LGBTQ、障害、人種など様々な人権擁護活動をしています
こちらの映画はぜひおすすめです。ACLUによる訴訟により、異人種結婚が認められるきっかけとなりました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Loving_(2016_film)
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友達の友達(日本人女性)がサンフランシスコの路上で、いきなり顔を殴られたそうです😢
ヘイトクライムを経験された方は、こちらにもぜひご報告ください。経験者の報告を集めて、政策変更などのアドボカシーなどに使われます。 日本語も選べます。
https://stopaapihate.typeform.com/to/RYWuSSQc
また、こちらにヘイトを経験・目撃した時どうしたらいいかのアドバイス(日本語)が載っています。
https://stopaapihate.org/safety-tips-japanese/
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こちらのビデオでは6分以内で分かりやすくアジア系アメリカ人への差別の歴史を学べます(英語)
アフリカ系アメリカ人たちがAAPIのコミュニティのために声をあげています
私たちも黒人コミュニティのために声をあげていく必要があります
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2018年の映画 The Hate U Give を観ました
13歳以上の子どもと一緒に見ることをお薦めしますが、各家庭の状況でご判断下さい
社会構造的な人種差別の現状を理解する一歩になると思います
アフリカ系アメリカ人の話ですが、世界にも共通する話です
このサイトには映画を観た後の子どもとの会話のポイントなども書かれています
https://www.commonsensemedia.org/search/the%20hate%20u%20give
また同サイトには、他にも人種差別について学べる番組・本のリストも紹介されています
このリストには入っていませんが、The Hate U Give は本もあります
https://www.commonsensemedia.org/search/racism
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他の媒体でもオーケーです
自分に差別する意図はなくても、社会構造的な差別を助長していることがあります
一緒に考えていきましょう
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社会の周縁にいる人たちの味方(Ally)になるとはどういうことでしょうか?
A- always center the impacted
L- listen & learn from those who live in the oppression
L- leverage your privilege
Y-yield the floor
by Kayla Reed
■ こちらのAllyになるためのガイド も第1歩を踏み出すのに、 とても役立ちます(英語)
■ こちらは特にトランスジェンダーやノンバイナリーの若者の味方になるためのガイド(英語)
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医療・健康のことを学んだ人ならば必ず同様のイラストを見たことがあるはず
上に載せた Wheel of Power/Privilige の絵を見ると、今の社会は、円の中心にいる(権力を持つ)人々が健康・幸せになるシステムになっているのは明らかです
そのシステムの中だと、社会の周縁にいる人たちが健康・幸せになるためには、中心にいる人の何十倍・何百倍・何千倍もサポートが必要です
次の絵はその状況を表しています
Equalityではなく、Equityが必要であり、そしてもっと話を進めるなら、社会システム自体を変えてJustice、Liberationを目指すことです
Image from http://madewithangus.com/portfolio/equality-vs-equity/
“...when equality is given to unequal things, the resultant will be unequal...” ― Plato, Laws, Books 1-6
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このページも長くなってきました(ここまでたどり着いて下さって、本当にありがとうございます😭)
新しい情報は、新しい投稿に出していきます
また、こちらのWomxn's Collaborativeのホームページとも連動していきます
執筆:ウィコラ創設者・代表 小谷祥子
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